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プロレスと「差別」その1 不適切用語について

 プロレス実況では、よく「足を引きずっている」という表現が使われる。
 もちろん「びっこを引いている」状態を指すのだが、それは差別語・不適切用語だとして言い換えがなされている。

 実況アナウンサーのみならず、たいていの人はまず「びっこを引いている」との表現が頭に浮かび、次に「それは使っちゃいけない言葉」と思い、だから「足を引きずっている」と脳内変換しているだろう。
 「びっこを引く」の言い換えが「足を引きずる」だということを、プロレス中継を見て初めて知った人も多いのではないだろうか?

 しかしこれは、いかにも苦肉の言い換えである。
 私はあの状態を「足を引きずっている」とは感じない。
 やっぱり「びっこを引いている」と感じるし、その方があの状態をはるかに的確に表現していると思う。(なぜそう思うのかと問われれば、語感がそう思わせるのだとしか答えようがないが) 
 あれは「足を引きずっている」のではないと思う。


 また「外人」という言葉がある。
 かつては「助っ人外人」などとプロ野球界でもよく使われていたが、今は世間全域において「外国人」との言い換えがなされる。
 プロレス界ではその顕著な例外で、アナウンサーはともかくとしてレスラーたちは今でもしばしば「外人」と呼び、それを放送するテレビ局も「ただいま不適切な表現がありましたことをお詫びします」とはいちいち言わない。
 ただしテロップでは「外国人」と表記し、活字メディアでも「ガイジン」とカタカナで書くのが通例のようである。
 しかし、なぜ「国」の一字を加えると不適切用語でなくなるのか、説明できる人はたぶんいない。
 これもまた苦肉の言い換えの一つと言える。


 こうした例はいくらでも挙げていくことができる。

 今の「中華人民共和国」を略して「中国」と呼ぶのはいいとして、かつての中国や地理的名称としての中国まで「中国」と呼ぶのはおかしいはずである。

 もし「中国大陸」と呼ぶのが正しいなら、日本列島は「日本国列島」と呼ぶべきである。
 朝鮮半島は「韓半島」とも呼ばれるが、やはり「韓国半島」と呼ぶのが筋である。
 そしてまた、北米大陸や南米大陸を何と呼ぶべきかに困るだろう。

 中国人を「中国人」、韓国人を「韓国人」と呼ぶのなら、なぜ日本人を「日本国人」と呼ばないか。
 韓国人も北朝鮮人も「朝鮮人」であるには違いないはずだ。
 また、その話す言語が「朝鮮語」であることにも疑いはない。
 が、「在日韓国・朝鮮人」と呼ぶ場合を唯一の例外として、「朝鮮人」「朝鮮語」との言葉は(日本のメディア上では)決して聞かれることがない。
 それは「朝鮮人」でなく「朝鮮民族」と、「朝鮮語」でなく「韓国語」「ハングル語」と呼ばれる。
 日本人を日本民族とも呼ぶので前者はいいとして、後者はもはやムチャクチャと言うべき表現である。
 なぜ日本語を「日本国語」「日本文字語」と呼ばないか、北朝鮮人の喋る言葉は「韓国語」なのか、これもまた答えられない問いだろう。
 
 しかし、答えとなれるキーワードはいくつかある。
 それが「慣例」、「雰囲気」、「配慮」である。


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平 成敏

Author:平 成敏
1970年代生まれの男性。
認定ファシリティマネジャー、主に施設管理の仕事に従事。
プロレス、社会、歴史など、興味関心のある分野についてあまり脈絡にこだわらず書いていきます。(⇒プロレス以外の話題については、別ブログ【社会・ニュース・歴史編】をご覧ください。)

著作一覧(アマゾンkindle版)

ペペチール第三王朝の興亡:表紙 世界系統樹:表紙 尊敬なき社会(上):表紙 尊敬なき社会(下):表紙

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