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10.11仙女と10.12新日本 その2 「真のヒール」は可能なのか?

 10.11仙女でのカサンドラ宮城について、解説の須山浩継氏は「これでコミカルヒールに行っちゃダメ。それは逃げだと思う」と言っていた。

 しかしメイン戦終了後に里村明衣子が宮城にリングへ上がるよう言い、(デビューしたばかりの橋本千紘が里村の王座へ挑戦表明したのに)、「オマエ先輩だろ、オマエは挑戦しないのか」と問うたとき――

 宮城は「いや……まだ、魔王がその時ではないとおっしゃっておられる」と答えたのである。(須山氏は無言であった。)


 しかし、カサンドラ宮城がコミカルヒールだというのは、もう大会前のリングネーム発表の時からわかっていたことである。

 以下、9月17日に仙女道場で行われた記者会見の模様を、仙女の公式サイトから引用する。


(引用開始)*******************************

宮城倫子コメント

10月11日仙台サンプラザホール大会から新しいリングネームになった。「カサンドラ宮城」だ。大親友のセンコ先生が名付けてくれた。画数も運勢もバッチリだ!何か質問はあるか?

Q カサンドラ宮城のネーミングは気に入っていますか?

 「悪に染まっている感じで、気に入っている。」

Q 命名の経緯は?

 「サンドのぼんやり~ぬTVでサンドウィッチマンと大親友センコ、いや、、センコ先生が付けてくださった。」

Q 字はご自身で書いたのですか?

 「自分だ。」

Q 筆ですか?

 「筆だ。」

Q 愛されキャラの倫 子さんですが、ヒールになって、どのような心境の変化がありますか?

 「朝、このような心境に変化していた。」

Q もう少しわかりやすくお願いします。

 「夢で魔王が悪になれと告げられたのだ。」

Q 魔王とは他にどんな会話をしましたか?

 「これから頑張れとのことだ。」

Q メイクは自分でされたのですか?

 「違う。朝、起きたらこの様になっていた」

Q 鏡を見てびっくりしましたか?

 「びっくりしなかった。これが当然の姿だ。」

Q しゃべり方も自然とそうなったのですか?

 「生まれつきだ。」

 マスコミのみなさん失笑。

 「なぜわらう。」

Q 以前の愛されキャラの倫子さんはなくなってしまったのですか?

 「初めから存在しない。」


(引用終わり)*******************************


 これを読んでコミカルヒールの役柄じゃない、と感じるのは不可能である。

 だいたい、団体自体がそういう役割を持たせているとしか思いようがない。(このやりとりは公式サイトに掲載されているのだ。)


 ※「サンドのぼんやり~ぬTV」とは、宮城県のローカル番組(東北放送)のこと。


 そもそも現代のプロレス界において、「真のヒール」とはどんな存在を言うのだろう?

 それが存在することは可能なのだろうか、ファンは本当にそれを求めているのだろうか?

 私は「真のヒール」というのは、数年前の総合格闘技界における青木真也のような人を言うのだと思う。

 ああいうのなら大昔のラッシャー木村のように、家に生卵をぶつけに来られることもあり得るのだろう。

 しかし今のプロレスファンなら――いや世間一般の人は誰でも、「ヒールとはヒール役のことである」と知っている。

 飯塚高史もアジャ・コングもタイチも役を演じているのであり、本当の悪党だとは思っていない。

 今のプロレス界に存在するのは「愛されヒール」「上手いヒール」であり、リング上の悪は演出なのだとみんなわかっているのである。


 もし仮に今のヒールの自宅に生卵をぶつけに行くファンがいれば、他のファンは「バカか」と言うだろう。

 「無理もない、あんな奴では」と思う人間は、それこそバカかと言われるだろう。



 カサンドラ宮城はセコンド業務をするだろうかと見ていると、案の定やっていた。

 全試合終了後、他の所属選手と一緒に並んで四方にお辞儀もしていた。


 もちろんそれはそうである。

 仙女の所属選手は6人、来年1月には仙台幸子が寿引退するので5人になる。

 こんな小所帯で、ヒールだからとセコンド業務をしないでいいわけがない。

 それどころか、団体内でユニット抗争なんてこともまずできない。

 こんな少人数で、一緒に練習しているに決まってるのに、本気で対立抗争しているというのは説得力がないからである。

(さらに仙女の場合、選手たちが里村明衣子の強力な指導下にあることもわかっている。)


 カサンドラ宮城がコミカルヒールであることは正しい。(それしか道はない。)

 そして現代のプロレスにおいては、ヒールになるにはコミカル性が必須になるとも言えるだろう。


 そうでなく「真に憎まれるヒール」というのは、やはり総合格闘技の世界――

 すなわち「本当に勝敗を争っている」世界にしか存在し得ないものだと思う。

 あるいは、団体という形ではなく、戦う「場」を提供するだけの世界にしか説得力を持って存在できない。

 またあるいは、よほど規模の大きな団体でなければ持つことのできない「贅沢品」だとも言えるだろうか?

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プロフィール

平 成敏

Author:平 成敏
1970年代生まれの男性。
認定ファシリティマネジャー、主に施設管理の仕事に従事。
プロレス、社会、歴史など、興味関心のある分野についてあまり脈絡にこだわらず書いていきます。(⇒プロレス以外の話題については、別ブログ【社会・ニュース・歴史編】をご覧ください。)

著作一覧(アマゾンkindle版)

ペペチール第三王朝の興亡:表紙 世界系統樹:表紙 尊敬なき社会(上):表紙 尊敬なき社会(下):表紙

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