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新日本のブルーオーシャン その3 対WWE戦略と英語

 新日本の海外戦略/対WWE戦略について、木谷会長はこう語っている。


○海外戦略の主要マーケットはアメリカ。

○アメリカにはWWEがいるが、だからこそプロレスファンが多い。新日本のスタイルとは違うので、試合内容で差別化できると思っている。

○怖いのは新日本の選手がWWEに直接引き抜かれること。

○自分は「英語ができない外国人選手を育てたら」と言っている。現場には全く本気にされていないが。

○プロレスは喋りが非常に大事。だから英語ができると引き抜きのターゲットになる。

○英語ができると海外進出もやりやすくなるが、引き抜きのリスクも高まる。

○だから若い選手が英語を勉強し始めたら注意しないと(笑)


 英語ができない外国人選手を育てる、というのは奇抜な発想である。現場が本気にしないのも無理はない。

 こういうことをやろうとすれば、メキシコ・南米(スペイン語圏)、ロシア・東欧のレスラーを活用するのが現実的だろう。

 しかしそう言えば、WWEが日本の団体から日本人選手を直接引き抜いたというのは聞いたことがない。

 やろうと思えばできるはずだが、なぜなのだろうか?



 昔アブドーラ・ザ・ブッチャーやスタン・ハンセンらを巡って、馬場全日本と猪木新日本が引き抜き合戦に陥ったことがある。

 その反省から両者が「今後は互いに引き抜きしない」との約束を結んだ、というのは有名な話である。

 しかし、今のWWEが日本の団体から選手を引き抜かれるのを恐れているとも思えない。

 
 やはりこれは、「そんなことをする必要がない」からではないだろうか?

 先にも言ったように、日本人選手の方が勝手にWWEを目指してくれるからである。


 華名はもちろん、KENTAだって引き抜かれたわけではなく自分の意思でWWEと契約した。

 我々の知らないところでWWEのトライアウトを受けている日本人選手もいる。


 WWEは、「現在世界最大のプロレス団体であり、最高峰である」とのイメージをすでに手にしている。

 その利点を活かせている。

 何もカドが立つ引き抜きなどという手を使わなくても、黙っていても意欲ある選手が集まるようになっているのだ。
  
(⇒2015年9月27日記事:華名改めASUKAのWWE入り その7 WWE「中華帝国」vs 新日本「小帝国」(1))


 そして、英語ができなければ流出を防げるかと言えばそれは違うだろう。

 私はよく知らないで言うのだが、KENTAも華名も英語のできる人だったかと言えばそんなことはないと思う。

 別に英語がまるきりできなくたって、喋り担当のマネージャーやエージェントを付ければなんとかなるような気もする。

 だいたい逆の場合を考えてみれば――

 外国人レスラーを日本の団体が呼ぶ場合、日本語ができるかどうかなんて全然重要ではないではないか?


 やはり流出を防ぐのに一番有効なのは、木谷会長が冒頭で言っていたように「試合内容を差別化する」ことなのだろう。

 選手自身が「オレはこんな試合じゃなきゃできないな/やりたくないな、WWEなんて向いてないな」と思ってくれればよいのである。

 そうすれば(新日本での報酬が少なくたって)WWEを目指すこともなくなるし、

 WWE流の試合ができなさそうであるならば、WWEだって契約しようとはしないはずだ。



 しかしこれ、明らかにレスラーの視野が狭まることを意味していないか?

 日本という国は、プロレスの分野でもガラパゴス化が進む国――しかも、自ら望んでガラパゴス化への道を選ぶタイプの国なのだろうか?

 どうも木谷会長の論からすれば、若手選手の定番である「海外武者修行」も取り止めさせたいくらいに思える。 


 とはいえ、まさにこの言語の障壁が日本からの人材流出を防いでいる、というのは社会的事実だろう。

 世界を股にかける実力があっても、日本を離れたくないから/言葉もわからない外国で暮らしたいなんて夢にも思わないから海外団体に移籍しない。


 日本人の英語のできなさは、もう何十年と続く骨がらみのものである。

 さんざん言われてきているように、小・中・高と十年以上義務教育で習ってきてもやっぱり喋れないのである。


(つまり英語を喋れることは、日本においてはいまだ社会的重要性がないとも言える。)


 私は「英語⇔日本語」の問題については、字幕化に尽きると思っている。

 英語字幕・日本語字幕さえあれば、喋り言葉がわからなくたって全然支障ないと思う。

 むろん生中継の場合、字幕をつけることはできないが――

 これについては、また別の記事を書くことにしよう。 

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プロフィール

平 成敏

Author:平 成敏
1970年代生まれの男性。
認定ファシリティマネジャー、主に施設管理の仕事に従事。
プロレス、社会、歴史など、興味関心のある分野についてあまり脈絡にこだわらず書いていきます。(⇒プロレス以外の話題については、別ブログ【社会・ニュース・歴史編】をご覧ください。)

著作一覧(アマゾンkindle版)

ペペチール第三王朝の興亡:表紙 世界系統樹:表紙 尊敬なき社会(上):表紙 尊敬なき社会(下):表紙

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