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潮崎豪の全日本退団 ~流浪の貴公子レスラー~ その2

 そして今回、二度目の離脱劇。

 これは極めてタイミングが悪い、と私は思う。


 それは、最近の試合で秋山準に「おまえは心が弱い」などと言われてしまったからである。

 秋山は根源的なことを言ったのか、たまたま潮崎のコンディションが悪いだけだったのかはわからないが――

 何かまるで潮崎が、「きつく叱られてケツを割った男」「自分の力に限界を感じて辞めた男」のように見えてしまうのだ。


 このイメージを払拭するには、今後すぐよほどインパクトのあることをやらなければならないだろう。

 たとえば新日本に殴り込むとか(新日本がそういうことを受け入れてくれるとか)、

 NOAHに出戻って対鈴木軍の救世主になるとか(しかしこれ、杉浦貴などにとっては断じて受け入れがたいことに違いない)、

 はたまたWWEに行くとかである。



 だが、もしそうでなかったら……

 潮崎には「辞める男」との色が付いてしまった。

 このイメージは非常に払拭しがたいと思う。

 今後どこの団体に行ったとしても、「スター選手/恐るべき強豪がやって来た」と言うよりも、「いずれ辞める流れ者のレスラーがやって来た」と見られてしまうのである。

 まさに「落魄した貴公子」だ。



 潮崎は「NOAHのエース」「全日本のエース」と呼ばれてきた。少なくとも両団体の主力選手の一角だったのは間違いない。

 さらに言えば、近未来のプロレス界を背負う存在の一人とも思われ続けてきた。

 しかし私の印象では――

 上手い言い方が見つからないが、彼は「平均的なエース」のように感じられる。 

 甘いマスクを持った男の悲劇とでも言うべきか、どうもいまいち懸命さというものが伝わってこないのである。

 率直に言って、KAIや黒潮“イケメン”二郎がWRESTLE-1のエースだという方がよほどしっくり受け入れられる。


 「こんなことを言うのも期待しているからこそ」とも私は言わない。

 また正直に言うのだが、私は潮崎が棚橋弘至に比肩するレスラーだと感じたことはない。

(ただし、ムーンサルトは見応えがあると思う。あの体格で「ふわっ」と浮くような美しい弧を描く。

 チョップの音も見事だが、しかしこれには他にも名手が大勢いる。)



 潮崎は今、プロレス界で非常に厳しい立場にあると思う。

 今後の主戦場がどこになるかはわからないが――

 DDTで飯伏幸太・HARASHIMA・男色ディーノと戦うとか、

 IGFで鈴川真一・澤田敦士と渡り合うとか、

 大日本で関本大介・岡林裕二と激突するとか、

 伊東竜二・アブドーラ小林、宮本裕向・木高イサミ・葛西純とデスマッチ戦を行うとか、


 それらは確かに夢カードかもしれないが――


 潮崎のネームバリューというのは、「かつてメジャー団体NOAHの王位継承者、プリンスであった」ことに拠るところが大きい。

 それが全日本を離れたことによって、非メジャー団体を主戦場にすることによって、どんどん薄くなってゆく。

 彼がそうすることによって人が感じるのは、たぶん「落ちぶれた貴公子」というイメージである。



 果たして潮崎が、そんなイメージを払拭するほどの活躍を見せられるか。

 もしそれができるとすれば、本当にWWEに行くか新日本に上がるしかないのではないか。

 プロレス界にはまた一つの貴種流離譚が――

 あるいは流浪雌伏の元プリンスの、復位を目指す物語的英雄譚が生まれようとしているのかもしれない。

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プロフィール

平 成敏

Author:平 成敏
1970年代生まれの男性。
認定ファシリティマネジャー、主に施設管理の仕事に従事。
プロレス、社会、歴史など、興味関心のある分野についてあまり脈絡にこだわらず書いていきます。(⇒プロレス以外の話題については、別ブログ【社会・ニュース・歴史編】をご覧ください。)

著作一覧(アマゾンkindle版)

ペペチール第三王朝の興亡:表紙 世界系統樹:表紙 尊敬なき社会(上):表紙 尊敬なき社会(下):表紙

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