前回記事でアメリカのことを書いたからというわけではないが、華名のWWE(NXT)入りについて思うことを書く。
私は、
現在の日本の女子プロレス界の二大巨頭は、高橋奈七永と里村明衣子だと思う。
これは多くの人が賛同するであろう。
里村はずっと前からセンダイガールズという団体のトップかつ社長であり、高橋はつい最近シードリングを旗揚げして社長になった。
選手としても立場としても、これで両者は名実ともに同格になったと言えると思う。
(シードリングには今のところ高橋しか所属選手がいないのだが、それでも業界的には「団体」扱いされる。)
女子団体の社長(あるいは代表)レスラーとしては尾崎魔弓(OZアカデミー)、さくらえみ(我闘雲舞 ガトームーブ)らもいるが、しかし巨頭の列に加えられることはない。
「アジャ・コングは巨頭だろう」との意見もあろうが、しかし団体のトップになったことはない。 いったいプロレスラーの権威や格というものがどうやって形成され認知されていくのか、というのは興味深いテーマだと思うが、とにかく高橋と里村は女子プロレス界で二つの頂点を成す立場にある。
しかしここで、
新たに華名(ASUKA)を加えた三巨頭体制になった、と言ってもいいかもしれない。
むろんWWE入りした華名は、基本的には日本の女子プロレス界と断絶したことになる――
よって日本の女子プロレス界のヒエラルキーからは離脱したことになるのだが、
「WWEスーパースター」の一員になったというインパクトは、日本のプロレスファンにも「華名の格が上がった」と感じさせずにいないのだ。 高橋は言わずと知れた全女(全日本女子プロレス)最後の王者、里村は長与千種の弟子。
二人とも、かつて女子プロレス界唯一の超大国だった全女の末裔と言える。(⇒2015年5月12日記事:高橋奈苗のスターダム退団――全女・正統後継王朝の一本の柱、抜ける) しかし華名はAtoZという団体(2003-2006)でデビューし、全女の系譜からは外れている。
(AtoZ自体は堀田祐美子がトップであり、やはり全女の遺臣団であったアルシオンを吸収合併して成立したので、全女の後継団体ではあった。)
2009年12月、当時一緒のユニット(パッション・レッド)で活動していた華名と高橋は、高橋のマジギレによって決裂する。
(プロレスの練習もしないで――などと言ってビンタを食らわせていた。)
翌2010年、華名は「マニフェスト」を発表し、既存女子プロレス界を公然と批判。 その内容は最新の『週刊プロレス』(No.1811の巻頭特集、佐藤正行編集長)を引用すると――
「女子レスラーの認知度の低さ、プロ意識の欠如、選手同士の過剰な称えあい、表現力の希薄さなどを痛烈に指摘」したものであった。 当時の女子プロレス界の体制というか雰囲気というものに、あえて敵対する道を選んだのである。
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