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フェミニストはなぜイスラム国と戦わないのか? その2

 次に(2)の「イスラム国にビビッている」。

 今のところ日本では、イスラム国によるテロは起こっていない。また、起こる可能性もそう高くない。

(日本にテロるくらいなら、他にいくらでも攻撃するところはあるだろう。ただし国際線の飛行機は別である。)

 また、たとえテロ要員が入り込もうとしてもけっこうガードは堅いはず――

 日本でアラブ人はかなり目立つし、入国審査もたぶん厳重にやっていると思う。

 やはり極東の島国ということ自体、この点非常に有利なのだ。

「明日にもイスラム国のテロがあるかも。テロリストが殺しに来るかも」と本気で怯えている人は、電波系人間以外にはいないだろう。


 しかしそれにも関わらず、「イスラム国の悪口を言ったらイスラム国が報復に来る」というのは現実的な恐怖である。

 それには過去の実例があるからだ。

 思い当たる人も多いと思うが、むかし「悪魔の詩・訳者殺人事件」というのがあった。

 詳しくはウィキペディアの「悪魔の詩」及び「悪魔の詩訳者殺人事件」を参照してほしいが、要約すると――


○1988年、イギリスの作家サルマン・ラシュディが『悪魔の詩』という小説を書いた。
 イスラム教の開祖・ムハンマドの生涯を題材にしたものだが、それがイスラム教を冒涜しているとされた。

○1989年2月、イランの最高指導者・ホメイニ師(懐かしい名だ。かつてはこの名をよくテレビで聞いた)が、ラシュディ及び書籍発行に関わった者に死刑宣告のファトワー(宗教令)を発す。
 同年6月、ホメイニは死去。ファトワーは発した本人しか取り消せないため、ずっと有効となった。

○1991年7月11日、『悪魔の詩』日本語訳者の五十嵐一・筑波大学助教授が、大学構内のエレベーターホールで刺殺される。

○その他、世界各国で同書の訳者が襲撃される事件が起こる。


 この事件、今でも出版界や作家・ライター、いや一般国民にも大きな影響を及ぼしていると思う。

 イスラム教を批判したりパロったりするのはヤバい。

 イスラム国となるとなおさらである。

 いくら女性を抑圧しようと蔑視しようと――それが碧志摩メグなど比較にならないレベルだとわかっていようと、怖いから批判しない/スルーする。


(なおこのことについては、後日別記事で詳しく書こうと思う。)


 しかし一方、日本の政府や地方自治体にはそんな怖れは感じない。 

 彼らが報復などしてこないことはわかっている。

 それどころか何があっても彼が悪い/問題があるとするのが時代の雰囲気である。

 だから立ち上がって声を上げることができる。


 これはわれながら真実を言っていると思うのだが、どうお考えだろうか?  

 そしてやはり、テロリズムと恐怖支配には実際に効果があるというのも真実だと思うのだが、どうだろうか?



 いや、確かに、顔と名前を晒してイスラム国に反対するのが怖いことはよくわかる。

 国際的ハッカー集団「アノニマス」はイスラム国に宣戦布告し、そのツイッターアカウントなどを閉鎖に追い込んでいるそうだが――

 それは顔の見えないサイバー戦であり、匿名だからこそできる行動ではないか、と言われればそのとおりかもしれない。

 フェミニストらが志摩市や日本政府には表立って批判・非難・糾弾するのにイスラム国に対してはそうしない、ということをバカにするのは酷かもしれない。

 
 しかしながら、だったらフェミニズム側も匿名でイスラム国を攻撃すればよいのではないか。

 「私は女性の権利を擁護する。それを踏みにじるイスラム国は決して許さない」と宣言し、ネット上で戦うフェミニスト戦士になればよいのではないか。


 コンピュータに異常なほど詳しく、情熱を持ってのめり込むのはほとんど全て男性だろうとは思う。

 しかし世界には一人くらいはそういう女性が、フェミニストが、絶対にいないわけがない。

 そしてフェミニズムに賛同する男性だって、何百万人もいるはずである。 

 なのになぜ、「匿名フェミニズム集団がイスラム国との対決を宣言した」などというニュースが聞こえてこないのだろう。

 そういうニュースは、フェミニズムの立場からして必ず聞こえてこなければならないはずだ。

 
 もしこのままフェミニズムがイスラム国に沈黙を貫くなら、対決姿勢を鮮明にしないなら――

 結局フェミニストというのは、自分が「絶対安全圏」にいるのでなければ発言しない評論家であり、実践者ではないということになると思う。


(⇒2015年8月15日記事:尾木ママ vs 棚橋弘至 Round4――「絶対安全圏からのワンサイドゲーム」の無価値さ)

 また、反撃してくるかもしれない相手には対抗しないという、いわゆる「腰抜け」に当たると世間にみなされても仕方ないと思う。

 本当に、なぜ匿名でいいからイスラム国と戦わないのか?

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平 成敏

Author:平 成敏
1970年代生まれの男性。
認定ファシリティマネジャー、主に施設管理の仕事に従事。
プロレス、社会、歴史など、興味関心のある分野についてあまり脈絡にこだわらず書いていきます。(⇒プロレス以外の話題については、別ブログ【社会・ニュース・歴史編】をご覧ください。)

著作一覧(アマゾンkindle版)

ペペチール第三王朝の興亡:表紙 世界系統樹:表紙 尊敬なき社会(上):表紙 尊敬なき社会(下):表紙

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