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なぜ碧志摩メグだけ? アイドル・アニメ・エロ本は?

 碧志摩メグの公認撤回要求については、まず309人分(現役の海女97人を含んでいる)の署名が志摩市に提出された。

 その次が、ネット上で集めたという約7000人分である。

 これを集めたのは、若手フェミニスト団体「明日少女隊」

(市役所へ渡しに行ったのは29歳と28歳の女性メンバー。確かに若手だ。)


 誰でもそうだと思うが、私はこういう団体があるのを初めて知った。

 まだできてからそんなに経ってないようなので、意地悪く言えば、名を売る絶好のプロモーション活動だと言える。

 そしてこれは皮肉ではなく、素直な感想を言うのだが――

 まだこんな団体がある、しかも若い人が参加している、ということに、私は何かジーンと来てしまう。

 大学時代(1990年代中期)にキャンパスで中核派の人たち――マスクで顔を覆っていたが、もちろん若い男女大学生――が集まっているのを見たことがあるが、あれ以来初めて抱いた感慨かもしれない。


 このご時世にこんな活動を、美人資本主義の時代・雰囲気へのプロテスタント(抵抗)を行なうことについて、少なくともその勇気は保留付きながら認めねばならないと思う。

(とはいえ中核派に関しては、「どういう経緯で入ることになったんだろう」という疑問と興味が先に立つが。)

 しかしなぜ保留付きかと言えば、それは相手が「行政」だからこそ奮える種類の勇気ではないか、と思うからである。


 『艦これ』や歴史上の人物の女体化は、美人資本主義のほんの一部の表れにしか過ぎない。

 世の中は美人資本主義を助長するメッセージ・コンテンツで溢れかえっている。

 女児女性向けの漫画や雑誌もそうだし、アイドルがあんな衣装でテレビに出るのもコンサートをするのも、何でもかんでもそうである。

(アニメの『プリキュア』などは、美人資本主義の一部である「カワイイ至上主義」を女児に植え付けるのに多大な影響力があるだろう。)


 そしてこれも言うまでもないことなのだが、あからさまに女性を「性的搾取」「奴隷化」することをウリにしたエロ本・エロビデオ・エロサイトは星の数ほど氾濫している。

 志摩市にだってコンビニはある。その大部分にはその手のエロ本が公然と売られているはずである。


(もっともその購買層は、たぶん行きずりの――地元民でない――人だとは思うが。)



 明日少女隊のサイト(http://ashita-s.tumblr.com/)を見ると、確かに「みんなで(女性誌の)ViVi編集部へ意見書を送るプロジェクト」というのもやっている。

 しかしこんなのは爪の垢にもならない小さなことであり、性的搾取こそが主力商品であるエロ業界には全然切り込まないのだろうか?

(この業界でほんわか系・痴女系は少数派であり、圧倒的大多数はレイプ・痴漢など女性の凌辱をテーマにしているのは周知のことだ。)

 これは明日少女隊に限ったことでなく、全てのフェミニスト団体に言えることである。



 我々は、アダルト出版社・映像メーカーにフェミニズム団体が抗議に行ったと聞いたことはない。

 テレビ局に「アイドルをテレビに出すのは止めて」「プリキュアの放送は中止して」と署名を出しに行ったと聞いたこともない。

 それらは明らかに(フェミニストにとっては好ましからぬし、そう感じないではいられないはずの)性的メッセージを発しているにも関わらず――

 碧志摩メグなど比較にならぬ影響力を持っていることを知っていながら、

 その女性蔑視度と性の商品化指数はものすごく高いものだとわかっていながら、

 である。


 明日少女隊のサイト「三重県志摩市公認萌えキャラクター「碧志摩メグ」の公認撤回を求める署名運動」から、その趣旨を引用する。



(引用開始)*******************************


「碧志摩メグ」は、志摩市が認定した市の広報のための公認キャラクターですが、

17歳という未成年の設定でありながら、胸や太ももなどの表現に顕著な性的誇張表現がなされており、さらにその意図を裏付けるように、彼女のプロフィールには身長と体重が明記され、「ボーイフレンド募集中」と書かれています。

(中略)

 私たちは、行政が、未成年の女性を性的なものとして表現し、市の広報のための公認キャラクターとして利用し、市役所などの多くの公共の場所で公開をしていることは問題であると考え、志摩市に公認撤回をお願いするための署名運動を行うことにしました。
 

(引用終わり)*******************************



 まず前段から。

 「17歳という未成年の設定でありながら顕著な性的誇張表現」がされ、「プロフィールに身長・体重が明記され」、「ボーイフレンド募集中」と書かれている――

 これは、ムチャクチャありふれたものである。

 これがダメなら、世のメディアに出ているアイドル・モデル・女子キャラのほぼ全てがダメである。

 やっぱり彼女らはイスラム風に、すっぽりチャドルをかぶるしかないのだろうか。


 しかしそれならなぜ、ことさら碧志摩メグにのみ反対するのか。他の無数は野放しなのか。よりどりみどりに全部ダメと言うべきではないか。


 だが、この話のキモは後段にある。

 つまり、そういうキャラクターを行政が公認し、公共の場に置くことを問題視しているのである。

 これを逆に言うならば――

 もし碧志摩メグが市の公認でなく、民間有志が勝手に作って使っているものならば、こういう抗議はなされなかったろうということである。

 私はまた正直に言うのだが、明日少女隊が署名活動などで撤回を求めることができるのは、それが行政相手だからこそだと思う。

 民間相手にはそんなこと言えない、言う度胸がないと思っている。

 具体的には、志摩市内のコンビニに行って店長に「エロ本を置くな」と言う勇気はないのである。

(コンビニチェーンの本社に行き、取り扱いを止めるよう署名提出するのも同様である。)



 民間には腰が引けても、行政には強く出られる。

 同じことを民間がやれば文句を言わない/言えない/言う気にもならないが、行政がやればそういう気持ちが湧き上がる/実行する。

 こういう行動・思考パターンもまた、現代日本人に普遍的なものである。

 もし碧志摩メグを公認しPRに使ったのが地元商工会(もちろん民間だ)あたりであれば、やはり署名運動はされなかったであろう。


 これはむろん、後知恵だが――

 志摩市に取ってみれば、まず商工会にPRキャラとして採用してもらい、そこから「ぜひ使用してくれ」との「要望」を受ける形で引き取っていれば、今回のような面倒は防げた可能性は大いにある。

(一民間人・一民間企業からでなく、「地元」の民間「団体」からのたっての願いだ、という錦の御旗が持てるからである。こうすると「公平性」も保てるし、攻撃されにくくもなる。)

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プロフィール

平 成敏

Author:平 成敏
1970年代生まれの男性。
認定ファシリティマネジャー、主に施設管理の仕事に従事。
プロレス、社会、歴史など、興味関心のある分野についてあまり脈絡にこだわらず書いていきます。(⇒プロレス以外の話題については、別ブログ【社会・ニュース・歴史編】をご覧ください。)

著作一覧(アマゾンkindle版)

ペペチール第三王朝の興亡:表紙 世界系統樹:表紙 尊敬なき社会(上):表紙 尊敬なき社会(下):表紙

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