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対HARASHIMA戦、棚橋の怒りの真意は その2

〈部分1〉

 俺は珍しく怒ってるよ。グラウンドで競おうとか、打撃で競おうとか、技で競おうとか。

 ナメたらダメでしょ。これは悪い傾向にあるけど、全団体を横一列で見てもらったら困るんだよ!(※机をドンと叩く)

 ロープへの振りかた、受け身、クラッチの細かいところにいたるまで、違うんだから。


〈部分2〉

 「技が上手だね、マスクがいいね、筋肉が凄いね」じゃないところで俺らは勝負してるから。


〈部分3〉

 まあ、これくらいにして。すばらしい選手だと思うよ。すばらしい選手でした。


〈部分4〉

 今日、この会場に来てくれたお客さんがいかに楽しむか、それにすべてを注いでいるDDTは、一番凄いです。


〈部分5〉

 ※試合後にリング上でHARASHIMAにかけた言葉として

 ・・・・・・俺もまだまだだな、と。

 HARASHIMA選手はこの団体のスターでしょ? スターをよりスターにとは思ってたんですけどね。

 まだまだ、非情になりきれなかったです。そこかな。


*******************************
 
 この中で核心は〈部分1〉であることは誰も異論がないだろう。だから後回しにする。

 〈部分3〉と〈部分4〉は、DDTとHARASHIMAに対する素直な賛辞である。

 しかしどこか、とってつけたような社交辞令にも感じる。


 そう思ってそう見れば何でもそう取れる、と言えばそのとおりなので、これは判断基準にならない。

 
 ただ〈部分2〉は、かなり明白にHARASHIMAのことを指しているように思える。

 たとえば対戦相手がマッスル坂井とかだったら、こんなことは言わなかったのではないだろうか。



 そして〈部分5〉は、DDTでのエース格であるHARASHIMAをより輝かせるため、棚橋自身が悪役(ヒール)または高く強い壁になりきろうとして失敗したことの反省である。

 その要因を、「非情になりきれなかったこと」としている。


 これは、三つの解釈ができると思う。


①本当に自分の力量が足りないと自分で思った。

②逆にHARASHIMAに、「高く強い壁」に当たって輝くだけの力量がないと感じた。

③何らかの理由で、自分もHARASHIMAも力量を発揮できない状況に置かれたと感じた。


 棚橋は試合直前の煽りVで、「やっぱりプロレスには闘いがないといけない」と言っていた。

 ではHARASHIMAには、闘う力量がなかったのだろうか?

 しかし私は(サムライTVのバトルメンで見るだけだが)、HARASHIMAは「ハードヒット」でもなかなか激しい闘いをしていると思うし、DDTでの試合も新日本の選手らにそんなに劣るとは思わない。

 もし総合格闘技的な意味で棚橋とHARASHIMAが対戦したら、HARASHIMAが圧勝することもあり得ると思う。



 そこで〈部分1〉なのだが――

 「グラウンドで競おうとか、打撃で競おうとか、技で競おうとか、ナメたらダメでしょ」

 「これは悪い傾向にあるけど、全団体を横一列で見てもらったら困るんだよ!」

 「ロープへの振りかた、受け身、クラッチの細かいところにいたるまで、違うんだから」

 というのは、いったい何を言わんとしているのか?


 「全団体を横一列で見てもらっては困る」とは、まさか「新日本とDDTなんかを一緒にするな!」との差別意識ではないだろう。

 棚橋はそういうことは思わない人であろうと思うし(最近の雑誌インタビューでは「学生プロレスとプロのプロレスの違いは、生活がかかってるかどうかだけ」と言っている人なのだ)、

 たとえ思っていても、どんなに怒っていても、決して口には出さないタイプだろうと思う。

 それはやはり、直後の「ロープへの振りかた、受け身、クラッチの細かいところにいたるまで、違うんだから」に係っていると見るべきである。

 つまり棚橋は、各団体には各団体の色がある――

 何でもかんでもごちゃ混ぜにして、色の違う団体の選手同士を簡単に対戦させるなよ、と言いたいのではないだろうか?

 技術体系の違う選手同士を交わらせて、そんな簡単にポンポン名勝負ができると思うなよ、と言いたいのではないか?


 もっと直截的に言えば、

 「このオレを簡単に他団体に貸し出すな、貸すならもっと考えて貸せ」ということになるのではないか。




 むろん、こんなことを言っていては誰も他団体に出撃できなくなりかねない。

 そしてまた、棚橋は夜郎自大ではないかとも思える。

 しかし振り返ってみれば、両団体のエース同士の対決と騒がれておきながら、そこには団体の命運を賭した大勝負という色がまるきりなかったのも確かである。

 棚橋が自分の価値を高く見るのは、決して夜郎自大ではない。それがプロレス界の実情であるし、ファンもまたその「価値観」を共有している。

 それなのに棚橋は、毎年恒例と化した「DDT両国大会への新日本からの選手派遣」として「ゲスト参戦」させられたのだと見ることもできる。


 もし新日本・アントニオ猪木と全日本・ジャイアント馬場が闘うとすれば、それはプロレス界を揺るがす大事件になっただろう。

 いや今でも、全日本の潮崎豪・諏訪間・秋山準、NOAHの丸藤ら他団体のエース格と棚橋が大会場で一騎打ちするというのは、なかなかの大ごとであるはずである。

(と言うか、そうあるべきなのだが。)

 なのに業界第1位の新日本と第2位のDDTのエース同士の一騎打ちは、なんだか「あのスターがウチの祭りに来た!」みたいな雰囲気の中で行なわれることになってしまった。

 これは棚橋の内心だけがそう思い込んだというのではなく、客観的な事実だったと私は思う。


  
 「グラウンドで競おうとか、打撃で競おうとか、技で競おうとか、ナメたらダメでしょ」と「技が上手だね、マスクがいいね、筋肉が凄いね」じゃないところで俺らは勝負してるから」は、たぶん繋がっている。

 要するに、棚橋の主たる怒りの対象は試合のシチュエーションであり、具体的に誰に対して怒っているかと言えば――

 この自分を「スターかつゲスト」として派遣し受け入れた、両団体の首脳部なのではないだろうか。


 
 全然的外れのことを言っている可能性はもちろんあるが、これが私なりに考えた結論である。

(ひょっとしたら、HARASHIMAが「自分と棚橋さんには似たところがある」と言っていたのにカチンと来たことだってあり得ると思うが……)

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プロフィール

平 成敏

Author:平 成敏
1970年代生まれの男性。
認定ファシリティマネジャー、主に施設管理の仕事に従事。
プロレス、社会、歴史など、興味関心のある分野についてあまり脈絡にこだわらず書いていきます。(⇒プロレス以外の話題については、別ブログ【社会・ニュース・歴史編】をご覧ください。)

著作一覧(アマゾンkindle版)

ペペチール第三王朝の興亡:表紙 世界系統樹:表紙 尊敬なき社会(上):表紙 尊敬なき社会(下):表紙

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