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8.23 DDT両国大会雑感―HARASHIMAの完敗と坂口征夫の戴冠

 サムライTVの生中継で、DDT両国国技館大会を見た。

 まず、セミファイナルの棚橋弘至vsHARASHIMAから。

 ちょっと驚いたのは、あまりにもあっさりと、かつ圧倒的に棚橋が勝ってしまった(素人にはそう見えた)ことである。

 DDTの両国大会も毎年恒例だが、そこに新日本のトップどころ選手が参戦するのもまた恒例――そして、新日本側が勝つのも恒例。


 むろん今回、HARASHIMAが棚橋に勝つなどと思っていたのは100人に1人もいなかったろう。

 プロレスは本当に勝敗を争っていると信じている人さえも、そんな可能性はまずないと無意識にでも感じていたろう。

 しかしそれにしても、今回は別格だった。

 試合中、HARASHIMAが勝つかもと思わせる場面はついになく、「え、これで終わり?」と思うほどストレートに棚橋の勝利。

 ほとんど完封試合の見本のような印象である。

 振り返ってみれば、去年の棚橋vs竹下幸之介(当時19歳)の方がずっと食い下がっていたような気がする。


 仮にもHARASHIMAはDDT「最強」の「エース」なのだが、ここまであっさりした敗北を喫するとは、おそらく誰も予想しなかった展開ではないだろうか?

 これはいったい、棚橋の技量が隔絶していることを意味しているのだろうか。

 それともHARASHIMAの不調、あるいは両者の噛み合わせの悪さを意味するものなのだろうか。

 私にとっては、ちょっとした謎の残る試合であった。


*******************************


 そして、メインイベントのKUDOvs坂口征夫。(坂口が勝利、KO-D無差別級王者となる)

 これがまた、最初から最後まで「蹴り」で構成された試合だった。

 たぶん「プロレスの神様」カール・ゴッチ(1924-2007)が見たなら、激怒しそうな試合である。(ゴッチは極度のキック嫌いと伝えられている。) 


 そのキック濃度は(私はあまり見たことがないのだが)旧UWFをも凌ぐと思え――

 なんだかプロレス戦ではなく、グローブを着けず短パンも着けないキックボクシング戦のようにさえ感じられる。


 しかし2015年の観客は、そんな試合を見て「プロレスをやれ」などと野次は飛ばさない。

(もしそんな人がいれば、「なんだコイツ」と怒られるに違いない。)  

 固唾を飲む「シーン現象」を現出させ、「これもプロレス」と思って見ている。

 私もまた同様に、相当の緊張感を伴う「プロレスの勝負」と思って見ることができた。


 おそらく彼らのキックは、本職のキックボクサーやK-1ファイター・総合格闘家に比べれば、何枚も劣るものなのだろう。

 そしてこんな試合は、本当はプロ「レスラー」にあるまじき試合なのだろう。

 しかしプロレスの長い年月のうち、我々はキック主体のプロレスラー/プロレス試合を、何の違和感も反発もなく受け入れるようになった。

 それを手に汗握る勝負と思い、感動さえも伴って見ることができるようになった。

 これはやっぱり、他の格闘技にとって由々しくも腹立たしいことであるかもしれない。

 自分たちのやっている「本職の/本物の」キック戦よりも、プロレスの/プロレスラーのキック戦の方がはるかに多くの観客に見られ、声援を浴びている。

 しかもそれをやっているのは、ダッチワイフ(ヨシヒコ)との試合を堂々と組む団体なのだ。

 
 思えばDDTは、プロレスが「格闘ショー」であること・「作りもの」であることを開き直ったかのようにさらけ出して追求し――

 それを「真剣勝負」の試合とも平行して進めてきた団体である。

 「あれもプロレス、これもプロレス」という言葉を、これほど体現する団体もない。


 そういう団体が新日本に次ぐ業界第2位の地位を占め、成功と拡大を続けているという事実。

 このことは、プロレスもプロレスファンもあらゆる要素を取り込んで成長できる/楽しめることを示している。

 そしてそれが、現代におけるプロレスの「強さ」なのだろう。


 最後に――坂口征夫・42歳の戴冠を、素直に祝福したい。

 有名プロレスラー(新日本の社長も務めた)・坂口征二の長男、俳優・坂口憲二の兄という立場は、確かにプレッシャーでありコンプレックスでもあったろう。

 それが「人生を諦めかけた」ことに繋がるのは大げさではないかと感じるにしても、そういう人間・状況があるというのは想像できる。

 彼を、入れ墨を入れた一人のアラフォー男性を救ったのはプロレスであり、それも男色ディーノや伊橋剛太の所属する団体であった――

 解説の鈴木健.txt氏も言っていたが、これもプロレスの力であり、また面白さでもあると思う。
 

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プロフィール

平 成敏

Author:平 成敏
1970年代生まれの男性。
認定ファシリティマネジャー、主に施設管理の仕事に従事。
プロレス、社会、歴史など、興味関心のある分野についてあまり脈絡にこだわらず書いていきます。(⇒プロレス以外の話題については、別ブログ【社会・ニュース・歴史編】をご覧ください。)

著作一覧(アマゾンkindle版)

ペペチール第三王朝の興亡:表紙 世界系統樹:表紙 尊敬なき社会(上):表紙 尊敬なき社会(下):表紙

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