前半戦終了直後、天龍源一郎が来場し、前々から言っていた自身の引退試合(11月15日・両国国技館)でのオカダ・カズチカとの対戦を直接要求。
オカダはこれを「どうなっても知りませんよ」と受諾した。
それが本当にシングルマッチを意味するのか、それとも天龍ゆかりの選手らを交えてのタッグマッチになるのかは、まだわからない。
しかしもしシングルマッチだとすると、これはオカダにとって極めて難しい試練になるだろう。
天龍のコンディションが悪いことは、見れば誰にだってわかる。
歩くことさえ難儀そうだからである。(なにせ65歳なのだ)
そんな相手と名勝負・好勝負をするというのは、棚橋弘至でさえ難しいのではないかと思う。 ありていに言えば、極度に動きの悪いレスラー(そして、体面を保たねばならないレジェンドレスラー)とどうやって試合を作っていくか、である。
こういう試合を経験した人は、実は今の新日本にもあまりいないのではないだろうか?
かたやいつも「身体能力抜群」と称されるプロレス界トップの若者、かたや歩行も不自由としか言いようのない六十代。
そんな二十八歳(11月15日時点)と六十五歳が拮抗した試合を行ない、しかもそれに説得力を持たせ、客の歓声を引き出さなければならない――
プロレス以外の体を使う分野では、まず提出されることのない難題である。 プロレスラーなんて脳筋のバカばかり、プロレスなんて知性の要らない低級なもの、なんて思っている人は、ぜひこの難題を自分で解いてみてほしい。
大多数の人は解けないし、まして実行もできないと思う。
そしてだからこそこの難題を解いたとき、オカダは棚橋も中邑も超えたと言うことができるだろう。 (少なくとも私はそう思う。)
いつのどの試合だったか忘れたが、
歩行補助器がないと動けないアブドーラ・ブッチャーに、タイチが跳ね散らかされるシーンをテレビで見たことがある。
それは極めて無理のある、とうてい納得しがたい光景であった。 オカダにとって、天龍戦はまぎれもない試練である。
同時にまた、新日本では他に誰もやったことのない、唯一無二の経験をする機会でもある。
プロレス界ではよく使われる言い方だが――
それをクリアしたオカダは、
「間接的に」棚橋・中邑らに勝ったと言ってよいと思う。
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かつて天龍は、馬場と猪木からフォールを奪い、両巨頭からプロレスを引き継いだわけですが、今度はオカダカズチカへのプロレス伝承の儀式を行おうというわけですね。
6月13日のノアの三沢追悼興行で見た天龍のコンディションは、腰やヒザの下半身がもういうことを聞かず、上半身だけで戦っている印象でした。
今回のG1のベストバウトは、棚橋vsAJスタイルズ戦だと思います。
現代プロレスの最高峰と言って過言でもない熱戦でしたが、それとは真逆の天龍vsオカダカズチカ戦。
オカダカズチカにとっては試練ですが、ホウキを相手にしても試合を成立させるのが、名プロレスラーの証。
オカダカズチカが本物かどうか、見極める機会を得た天龍戦が、とても楽しみです。