新日本・第25回G1クライマックス決勝(両国国技館)を、新日本プロレスワールドで見た。
今回は特に「仕掛け」の目立った大会だったと思う。
冒頭から米ROH(リング・オブ・オナー)のデリリアスがリングに上がり、来年2016年にはROHが日本大会を行うと宣言。
新日本とROHの協力・同盟関係が、強化された/強化される方針であることが決定的に鮮明になった。 WWEを除くアメリカのメジャー団体(TNAとROHの2団体がそれに当たるとされている)としては、すでにTNAがWRESTLE-1の協力を得て日本大会を開催している。(2014年10月12日・後楽園ホール)
これはけっこう盛り上がった大会であったのだが、しかし
W-1とTNAの提携は短期で解消され、どうも単発で終わりそうである。
新日本にとっては北米での大会開催に格好の現地協力者を得ることになるし、ROHにとっては北米外の市場進出へ低リスクでトライできる好機になる。
TNAは本国では苦境にあるがイギリスではなぜか人気があると言われるように、海外ファンの獲得・開拓を目指すことは、いやしくもその国でメジャーと呼ばれるプロレス団体にとって極めて重要な時代と言える。
そして、単なる選手の派遣でなく「大会開催」を海外で行おうとする団体は、今のところ日本では新日本のみである。
(WRESTLE-1分裂前の全日本は、台湾でそれを実行していたのだが。)
やはり新日本は、日本における「唯一のメジャー団体」なのだろう。
(⇒2015年3月21日記事:NOAHは現代のUインターか? その3 メジャーからインディーへ:本来の姿への回帰) 今回G1でのマイケル・エルガンの(予想をはるかに超える)活躍は、ROHの日本大会開催にとって露払いのようなものであり、またその効果を期待されての参戦だったに違いない。
そしてエルガンは、充分以上にその役割を果たしたと思う。
こんなレスラーがいるなら、しかも日本で開催されるなら、ROHを見に行きたいと思った新日本ファンはかなり多いはずだ。(もちろん、新日本の選手も多数参戦するだろう。)
ここでちょっと、最近の米マット界で起きたことをいくつか並べてみる。
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2014年4月7日
TNA創設者かつ離脱者のジェフ・ジャレット、自らの団体「GFW」(グローバル・フォース・レスリング)を立ち上げ。
2014年4月29日
GFWとメキシコ・AAAの業務提携発表。
2014年8月10日
GFWと新日本、業務提携に調印。(新日本・西武ドームG1決勝戦。なお、提携発表はすでに6月23日に行われていた。)
その日ジャレットは、棚橋にギタークラッシュ(ギターショットとも言う。ギターで頭を思いきり殴る)を仕掛ける。
2015年2月17日
TNA主力選手のサモア・ジョー、TNA退団。(3月7日、古巣のROHに復帰)
2015年6月28日
ジャレット、TNA大会に電撃復帰。キング・オブ・マウンテン王座獲得。ジャレットの2015年度TNA殿堂入り発表。
TNA主力選手のマグナス、オースティン・エリーズ、ジェームス・ストーム、TNA退団。
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新日本とROHが同盟するのはいいとして、ROH・GFW・新日本の関係はいったいどういうものなのだろう。
そして
TNAは相当ヤバいのではないかと感じるが、それとGFWその他の関係はどうなのだろう。
残念ながら、私は米マット界について詳しく知っているわけでもないし、たいして調べる時間もない。
(やっぱりプロレスばっか見ているわけにはいかないのである。)
しかしその情勢がかなり複雑怪奇であることだけは、何となく感じられる。
それにしても、今回挨拶をしたデリリアスといい(最近TNAから移籍した)サモア・ジョーと言い、ROHという団体自体及び所属選手たちは、NOAHとの関係の方がよほど深かったはずである。TNAについても同じことが言える。
NOAHが新日本の子会社化したのであれば、その外交関係も親会社の新日本が引き継いだということだろうか?
日本における「プロレス国際政治」のプレーヤーが、現時点では事実上新日本のみであることを、デリリアスの挨拶で感じた気がする。
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