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尾木ママ vs 棚橋弘至 Round2――評論家の強みと弱み

 まず断っておくと、私は尾木ママのことをほとんど知らない。

 多くの著書(なんと200冊超だ)を出しているが、そのうち一冊も読んだことはない。

(同じような題材でそんなに数を書いていれば、その内容は似たり寄ったりではないかと思うが。)

 よってこれから彼について述べることは、ほぼ全てウィキペディアに依拠するものである。


*********************************


 評論家(そして学者も)がそれ以外の人たちからバカにされるのは、実務をやらないでモノを言うからである。

 じゃあお前やってみろと必ず思い、そう言いたくなるからである。

 実務せず、ゆえにミスも犯さない。不祥事を起こすこともない。

 そういうリスクがないから、強固な地盤と自信をもって他者を批判できる。 

 これが評論家の最大の強みなのだが、それが最大の弱点でもある。


 「強みは弱み、弱みは強み」とは世の中でよく聞くが、まさにそれを地で行っている。



 むろんこのことは、評論家が克服できない弱みではない。

 要するに、評論家になる前に実務経験を持っていればよいのだ。

 そして全部ではないがほとんどの場合、評論家はこの問題をクリアしている。

 評論家は何のバックボーンもなくして突然評論家になるのではなく、その多くは実践者出身なのである。

(家電評論家とか、いわゆる「スキマ評論家」の場合はもちろん違う。それは一応、なろうとする意志さえあれば誰でもなれる。)



 尾木ママもまた、二十二年間教師を務めた。

 やはり教育現場での実践者出身であり、自分には経験があると堂々と言える。

 それに基づいてモノを言っているのであり、決して現場を知らず空理空論をもてあそんでいるのではないと言える。



 しかし、それでも――

 尾木ママがイジメ問題について学校や教師といった実践者・実務者らを批判するとき、

 多くの人は、「じゃあお前、『今』やってみろ」と言いたくなるのではないか?



 現役教師時代の彼は、たまたま重大なイジメ問題に出くわさなかっただけかもしれない。

 もし今、イジメ問題のある学校へ実務者として赴任したなら、本当にイジメを防ぎ「適切な対応」ができるのだろうかという疑問である。

 彼はいくつもの委員に就任し、大津市イジメ自殺問題では被害者遺族に乞われて第三者調査委員会の委員にもなった。

 しかしなぜ、委員ではなく実務者の立場にならないのだろう。

 たとえばどこかの町の教育長とかになり、自分の思うところを実践しようとしないのだろう。

(そういうオファーがないからだ、自分から志願するなんてできないからだ、との理由は一応説得力があるにしても)


 いや、教育長とかでなくていい。むしろもっと現場に密着した、本当に教室で教える教師になればよい。

 教育現場の第一線の、特定クラスの担任教師になればよい。

 それはかつて彼がやっていたことであり、今の自分の理論なり理念なりを直接に実践できる唯一の手段であるはずである。


(※ちなみに私は、こういうことが本当にイジメ防止に効果があるかもしれないと思っている。

 なぜなら尾木ママは、有名人であり「権威」だからである。

 悲しいこととも言えるだろうが、人間は子どもの頃から権威に敏感(かつ従順)なところが明らかにある。

 無名の先生の言うことは聞かなくても、テレビに出てくる「あの」尾木ママの言うことには従う可能性が多分にあるのだ。)




 しかし私には、いやあなたにも、こういうことは実現しないとわかっている。

 高名な評論家が普通の教師に転身するなど、評論家本人にもその他の人にも「格落ち」「失礼」と受け止められるからである。

 そして尾木ママについては、「教師時代に『教師の立場では現代の教育現場を変えられない』と感じ、評論家となった」経緯があるからである。

(ウィキペディアの記載による。2011年5月8日放送の『情熱大陸』で本人がそう言ったらしい。)

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プロフィール

平 成敏

Author:平 成敏
1970年代生まれの男性。
認定ファシリティマネジャー、主に施設管理の仕事に従事。
プロレス、社会、歴史など、興味関心のある分野についてあまり脈絡にこだわらず書いていきます。(⇒プロレス以外の話題については、別ブログ【社会・ニュース・歴史編】をご覧ください。)

著作一覧(アマゾンkindle版)

ペペチール第三王朝の興亡:表紙 世界系統樹:表紙 尊敬なき社会(上):表紙 尊敬なき社会(下):表紙

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