Entries

プロレスベルトと芥川賞の価値・権威 その6 芥川賞=IWGPヘビー級ベルト?

 次に、ここ5年間の芥川賞受賞者・受賞作品を示そう。

*******************************

第143回(2010年上半期)- 赤染晶子『乙女の密告』

第144回(2010年下半期)- 朝吹真理子『きことわ』、西村賢太『苦役列車』

第145回(2011年上半期)- 該当作品なし

第146回(2011年下半期)- 円城塔『道化師の蝶』、田中慎弥『共喰い』

第147回(2012年上半期)- 鹿島田真希『冥土めぐり』

第148回(2012年下半期)- 黒田夏子『abさんご』

第149回(2013年上半期)- 藤野可織『爪と目』

第150回(2013年下半期)- 小山田浩子『穴』

第151回(2014年上半期)- 柴崎友香『春の庭』

第152回(2014年下半期)- 小野正嗣『九年前の祈り』

第153回(2015年上半期)- 羽田圭介『スクラップ・アンド・ビルド』、又吉直樹(ピース又吉)『火花』

*******************************


 これらの作家名・作品名もまた、ノーベル文学賞と同様、知っている人はあまりいないのではないかと思う。

 終わってみれば(受賞してしばらく経てば)、結局はその程度なのかと思う人もいるだろう。

 この人たちはお笑い芸人の世界でいう「一発屋」だったんじゃないかとすら思うかもしれない。

 もっとも、芥川賞の基本的な性格は「新人賞」なので、デビューした新人がいつの間にかフェードアウトしたり大成しなかったりするのはむしろ当たり前のこと――

 それが大多数のケースであって、特に不思議ではないのだろう。

 (なんか、女子プロレス界にも似てる気がするが。)


 なるほど中には受賞時の知名度を維持し、さらに高めたような人もいる。

 2003年下半期受賞の金原ひとみ(当時20歳)『蛇にピアス』、綿矢りさ(当時19歳)『蹴りたい背中』はその筆頭格ではなかろうか。

20150804『文學界』2012年1月号
『文學界』2012年1月号より



 そしてそれは、この二人の作品が他の受賞作より突出して素晴らしかったからではない、と私は思う。

(何度も言って申し訳ないが、私はこの二人の本も全く読んでいない。)

 それはやっぱり美人資本主義の表れであり、作家や文壇もまたその浸透から免れないことを示している(と、私は思う)。

(⇒2015年6月22日記事:フェミニズムは美人資本主義に負けた)

 しかしともかくも芥川賞(と直木賞)は、今の日本において注目度がずば抜けてナンバーワンの文学賞である。

 それは日本のプロレス界で言えば、IWGPヘビー級ベルトにも相当する。

 そしてまた文学界の一大イベント、「文学興行」と呼ぶべきドル箱興行でもある。


 むろん、歴代IWGPへピー級チャンピオン及びその選手権試合の全てが――

 各団体のビッグマッチの全てが、記憶に残る名選手・神興行であるわけがない。

 芥川賞の受賞者・受賞作にも同じことが言えるに決まっている。

(ボブ・サップがIWGPヘビー級王者であったことは、熱烈な新日本ファンにとって一種の黒歴史でさえあるだろう。)


 上記一覧表の中から一つだけ取り出して申し訳ないのだが、あなたは黒田夏子『abさんご』という作家・小説が五十年後も読み継がれていると思うだろうか?

 それはまぁ、『21世紀芥川賞全集』などという本には間違いなく収録される。

 そういう意味では後世に残る作品だし、非受賞者の作品には決して得られない境遇である。

 (非受賞者のみならず作家なら誰でも、自分の名と作品がどんな形でも後世に残ることを切望しているはずだ。)

 しかしそれは、夏目漱石やコナン・ドイルの作品が今でも読み継がれているのとはもちろん意味が違う。

 言ってしまえば生きていながら死んでいる、化石のような残り方である。


*******************************


 ここでちょっと文学界(小説界)をプロレスに喩えてみると、

 ライトノベルなどは文字通りライト級・ジュニアヘビー級になぞらえられる。

 いくら人気があっても売れていても、それでもなお一般の小説(これがヘビー級に当たる。「一般小説」って何なのかという問題はあるが)に比べて格下に見られる点もよく似ている。
 
 「ミステリ級」というのもあるだろうし、ノンフィクション系は総合格闘技(リアルファイト)に当たるだろうか?



 ジャンルごとにいろんな賞があるものだが、その選考はタイトルマッチか。

 しかし「客を呼べないチャンピオンは真のチャンピオンじゃない」と言われるように、売れる小説こそ真の傑作という考え方もあろう。

 「強さ」の基準は複数ある――という点も、プロレスと文学界の類似点と言えなくもない。


 そしてもう一つ類似しているのは、賞にせよベルト(タイトル)にせよ、各種団体が勝手に作ったものだという事実である。

このエントリーをはてなブックマークに追加
スポンサーサイト
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://tairanaritoshi.blog.fc2.com/tb.php/113-6518544e

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

平 成敏

Author:平 成敏
1970年代生まれの男性。
認定ファシリティマネジャー、主に施設管理の仕事に従事。
プロレス、社会、歴史など、興味関心のある分野についてあまり脈絡にこだわらず書いていきます。(⇒プロレス以外の話題については、別ブログ【社会・ニュース・歴史編】をご覧ください。)

著作一覧(アマゾンkindle版)

ペペチール第三王朝の興亡:表紙 世界系統樹:表紙 尊敬なき社会(上):表紙 尊敬なき社会(下):表紙

FC2ランキング

FC2オンラインカウンター

現在の閲覧者数:

FC2アクセスカウンター

日本ブログ村・人気ブログランキング アクセスランキング

ツイッターウィジェット

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR