ついさっきニコニコ生中継で、巌流島第2回検証大会(両国国技館)を見終わった。
元々は7月18日の当日にフジテレビNEXTで生中継予定だったものが、それが急遽中止になった。
(⇒7月19日付記事 「巌流島」放送中止、フジテレビ撤退) 今回は試合映像はもちろん録画、実況解説が生中継でニコ生放送されたものである。
途中で音声が不調になったりハウリングが入ったりして、いかにも個人スタジオからの自主放送という素人臭さがあったのは確かだが、
放送してくれた自体(しかも無料)にただ感謝あるのみである。 さてまず誰もが感じたのは、実況解説陣からフジテレビによる放送打ち切りの話題が全く出なかったこと――
谷川貞治広報部長すら出演したのに一切触れなかったこと、また悲壮感というものも全然なかったことだろう。
まあ、「これからどうなるんだ」という悲壮感を漂わせて放送するのもあり得ない選択肢なのだが……
妙に明るい雰囲気である。 しかしどうやら『巌流島』を継続開催する気は満々のようで、ひとまず見守るしかなかろう。
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オープニングファイト4試合、トーナメント戦4試合、スーパーファイト(単発戦)7試合というボリュームもあり、
生中継は4時間半(午後7時~11時半ごろ)に及ぶ長いものとなった。
全部の試合に触れるのはとてもできないし全部の試合に感想を持ったわけでもないので、ここは総評的に感想を述べる。
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まず
ミノワマンは楠ジャイロ(日系ブラジル人・ボクシング)と対戦し判定勝ちしたが、客ウケは全く悪い、ヒドい試合だったと言える。
後に繋がらないタックルを延々と繰り返しては膠着し、解説陣(サンボ代表・松本天心)にも「プロとしてちょっと」とダメ出しされる。
勝利しても客は「え~!」とかブーイングとか静けさでそれを迎え、恒例のスタンディング・リアルフィスト(拳を何回か上に突き出すパフォーマンス)も非常にむなしい。
実際、よくあの雰囲気でそんなことするわとむしろ感心できるほどだ。
その一方、第1回の記事でも書いたのだが、今回も渡辺一久(ボクシング)の健闘は際立っていた。
健闘と言うより、とにかく盛り上げて面白い試合をしようという意欲が目に見えるのであり、それはどうしたって好感を呼び起こさずにはいない。
本当に彼は、プロレスラーを超えるほどそういう意識と実行力を持っている選手である。
しかしこれ、
「最近のミノワマンはめっきりダメだ」「ミノワマンは渡辺一久を見習え」という個人論で収まる話でもないような気もする。
異種格闘技・総合格闘技黎明期の頃から見てきた人には今更みたいな話だろうが、
ボクサーとその他の格闘家とは、戦うことにおいて極めて噛み合わせが悪いのではないか。 あのアントニオ猪木vsモハメド・アリ戦(1976年)で――
猪木が延々と寝そべったままキックのみでアリを攻撃し続けたのは、
猪木にタックルの技術がなかったからだという意見があるのはみなさん周知のことだろう。
しかしじゃあタックルすればどうにかなったのかというと、今回のミノワマンみたいな試合になったように思う。 寝技が封じられていれば、ほとんど確実にそうなるはずである。 巌流島ルールでは寝技は15秒以内。
しかも正確に寝技に入った時からではなく、「足の裏以外が床に着いた時」から数え始める。
猪木vsアリ戦のルールが本当はどうだったのかはいまだにはっきりしていないが、たぶん似たような制約があったのだろう。
かといって
ボクサー相手にスタンディングで打ち合って勝てるわけもない。 となるとやはり、寝そべってキックを当てる他、安全・確実に勝てる手段はどうも思いつかない。
プロレスラーの中のプロレスラーである猪木が客のブーイングをものともせず――こんな戦術が極度に客ウケが悪いことは初めからわかるはずだし、いくら何でも試合の最中に気づくはずだ――そんなことをやり続けたのは、当時の猪木の精神力を示していると思う。
また、猪木vsアリ戦が「ケツ決め」のないリアルファイトだったとの、強力な例証になっているとも思う。
(しかしこれだけでそう断言できないところが、猪木vsアリ戦の大いなる謎なのだが。)
そしてさらに、
相手の攻撃を受けずして勝つことのみを追求すれば、いかに試合がつまらなくなってしまうかという例証でもあるだろう。
ともあれミノワマンは、今回間違いなく株を下げた。
こんな試合をしていては、いくらネームバリューがあろうとも次は呼ばれないはずである。(巌流島自体、次があるとは確言できないにしても……)
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