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現役プロレスラー曙死去-幻の王道継承

 4月11日、元大相撲の横綱(史上初の外国人横綱)で総合格闘技にも参戦、プロレスラーとしても活躍した曙が、心不全で死去した。享年54歳。

 もう7年ほど前から病気でプロレスの試合はしていないし、公の場に顔を出すこともなかったため、もう曙がプロレスラーであることを知らないプロレスファンさえ多いだろう。

 しかし引退して辞めたわけではないため、曙は今でもプロレスラーであり、現役プロレスラーとして死去したことになる。

 ところで曙と言えば、総合格闘技でボブ・サップと対戦し「前のめりにダウン」して敗北したときの印象がものすごく強い。

 その光景を描いたアスキーアート(AA)は、一時期日本のインターネット上で文化的ミームと言えるほど氾濫していたものである。

 「マケボノ」などという呼ばれ方をしたこともあり、なんと大相撲横綱の曙は、一時期「ふがいない敗者」の代名詞でもあった。

 大相撲で頂点を極めた者として、これは計り知れない屈辱であったに違いない。


 曙はその後プロレスラーとなるが、では歴史に名を残す名レスラーになったかと言えば、たとえプロレスラー曙を高評価する人にしても、そこまでは言えないだろう。

 しかしその曙が、なんと「ジャイアント馬場の王道の継承者」になりかけたことがあったのは、当時も今も驚きである。

 2015年末、曙は自分がトップを務める「(株)王道」の設立を宣言。

 その事務所(本社)は故ジャイアント馬場の自宅とし、馬場未亡人である故・元子 氏の全面バックアップを受けていた。 

(⇒ 2015年12月5日記事:曙による全日本再分裂)


 ところがこのほとんど直後から曙が病気休業に入ってしまったため、この構想は自然消滅の形になってしまった。

 ここでもし、曙が元気なままだったらプロレス界はどうなっていたか……

 私は正直、そんなに大きな影響はなかったのではないか――インディー団体・インディープロモーションが一つ増えるだけだった――と思うが、しかしそんなことは誰にもわからない。

 もしかしたら紆余曲折を経て、(株)王道が全日本プロレスを吸収合併し、曙が全日本の社長になっていたことだってあり得ただろう。

 しかしその「王道継承者・曙」の構想も、夢と消えた。

 もし実現していれば、大相撲の歴史のみならずプロレス史にも、間違いなく曙の名はハッキリと刻印されていたのだが……

 なんにしても、54歳での死はあまりにも早い。

 謹んで、ご冥福をお祈りする。

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安齊勇馬、史上最年少で三冠戴冠-レインメーカーショック連発か女子プロレス化か

 3月30日、全日本プロレス大田区総合体育館大会で、挑戦者の安齊勇馬(24歳)が王者・中嶋勝彦(36歳)を下して三冠ヘビー級王座を戴冠した。

 24歳10か月での戴冠は史上最年少であり、しかもデビューからわずか1年半での快挙である。

(⇒ 東スポweb 2024年3月30日記事:【全日本】24歳・安齊勇馬が中嶋勝彦を撃破! 史上最年少で3冠初戴冠「俺が時代をつくります」)


 しかしこの試合、現場ではかなり不評でブーイングも飛んだらしい。

 なんでも試合の90%くらいは中嶋勝彦が攻め立てており、最後の最後で安齊勇馬が逆転勝利となったのが「とってつけたような勝利」にしか見えなかったという。

 ただ、べつだん安齊勇馬を弁護するわけでもないが――

 そういう展開・結末の試合って、プロレス界では別に珍しいことではない。


 それは今までも何度もあったし、なんなら「タイトルマッチでない普通の試合」でよりも、こうした大一番の試合でこそ多発していると言っていいだろう。

 そしておそらく、今回の試合で安齊勇馬が勝つだろうと予想した人は、この試合に関心のある人の過半数を占めていたのではないかと思われる。

 なぜならプロレスファンには、あの(若造のはずの)オカダ・カズチカが(歴戦王者の)棚橋弘至を倒して初めてIWGPヘビー級王者となった「レインメーカー・ショック」の印象がいまだに強いからである。

 いや、もしかしたらその印象をもっと強く持っているのは、他ならぬプロレス諸団体自身であるのかもしれない。

 あの「まだキャリアの浅い若者が、強さの象徴であるトップを下して超新星となる」というシチュエーション――

 かつオカダによるその成功は、日本のプロレス団体に甚大な影響をもたらしたと私は思う。

 こう言っては、どうしても悪口になってしまうのだが……

 NOAHにおける清宮海斗のGHCヘビー級王座戴冠はレインメーカー・ショックの二番煎じであり、

 今回の安齊勇馬の三冠ヘビー級王座戴冠はその三番煎じである、


 という感想は、少なからぬ数のプロレスファンが抱く感想ではあるまいか。


 そして私がもう一つ思うのは、このレインメーカー・ショック・シチュエーション(長いので「RMSS」と言っておく)が連発されるからそうなるのか、

 それともRMSSとは全く別の要因によるものかはわからないが――

 どうも近年の男子プロレスは、女子プロレス化しているのではないかという印象である。

 女子プロレス化というのは具体的に言えば、「選手がベルトを巻くまでのキャリア年数が劇的に短縮されている」ということだ。

 女子プロレスの世界では、デビュー1年くらいの選手が何らかの王座を戴冠するのは別に珍しいことではない。

 むしろそれは、日常的な風景とさえ言えるかもしれない。

 しかし言うまでもなく、猪木新日本でも馬場全日本でも、キャリア1~2年の選手が王座獲得するなんてあり得ないことであった。

 そんな頃なんて、いまだ初勝利を得ていないことさえ稀ではなかっただろう。


 そういう事情はかなり近年まで続いてきたのだが、その点で男子プロレスと女子プロレスはハッキリ異なるということを、以前の記事で書いたことがある。

(⇒ 2022年7月9日記事:新日本・木谷オーナーの自団体批判と男女の整合性)


 ところが今回の安齊勇馬の三冠ヘビー級王座戴冠により、この男子プロレスと女子プロレスの違いはほとんど解消された、と言っては言い過ぎだろうか。

 しかしどうしても、そう感じてしまわないだろうか。

 これも時代の流れと言ってしまえばそれで終わりなのだが、オールドファンなら確かにブーイングを送っても無理からぬところではあるだろう……

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「スターダムの乱」林下詩美ら4名離脱-意外と少ない新団体合流者数

 3月22日、スターダムは林下詩美(25歳)・MIRAI(24歳)・桜井まい(33歳)、弓月(19歳)の4選手が3月末で退団することを正式に発表した。

 他にはジュリア(30歳)が退団を決めているが、上記4人はジュリアとは異なり、ロッシー小川(66歳)がスターダムを割って出て旗揚げする新団体へ所属すると見られている。

 ロッシー小川の電撃的契約解除から始まった「スターダムの乱」が、ようやく形となったのである。

(⇒ 東スポweb 2024年3月22日記事:【スターダム】エース格の林下詩美、MIRAIら5選手が退団 ロッシー小川氏の新団体参加へ)

(⇒ 2024年2月5日記事:ロッシー小川電撃解任・契約解除-「スターダムの乱」勃発)


 ところで皆さんは、この一報を聞いてどう思っただろうか。

 私が思ったのは、「この程度の数なのか」というものだ。

 これはたぶん、同じように思った人も少なくないだろう。


 今回の退団者中の目玉なのが林下詩美であるのはもちろんとして、弓月もなかなか将来を嘱望される「惜しい人材」なのかもしれない。

 しかし私は、てっきりスターダム所属選手の3分の1くらいは離脱するかも――と思っていたのである。

 もしかすると新団体の「適正人数」を超える人数が離脱して、ロッシー小川が却って困る事態になるのもあり得るかもしれない――などとさえ思っていたのだ。

 この新団体の適正人数というのは難しいもので、現時点での「総勢4人」というのはむろん少なすぎる。

 しかし、15人とか20人というのはたぶん――負傷欠場リスクを勘定に入れても――多すぎるだろう。

 ロッシー小川の資金力や人脈がどのくらいのものなのか、私に知る由もないが……

 そういうことを勘定に入れないとすれば、10人程度が適正ということになろうか。

 となるとロッシー小川の新団体は、他に6名程度の選手を(旗揚げまでに)引き抜き又は育成デビューさせることになる、と予測できるだろうか。

 もっとも、10人をずっと下回る人数で旗揚げした団体も多くあったことだし、当面は「参戦選手」によってカードを組むことも十分に可能なのだろう。


 そして離脱されたスターダムの方だが、案外に離脱人数が少なかったことでダメージは僅少だと思われる。

 なにせ今のスターダムは所属人数がそれこそ過剰気味にさえ思えるので、今回の離脱の穴埋めは簡単にできる。

 いや、むしろ、残留選手たちの大部分にとっては――プロレス団体のこういう時にはいつもそうだが――またとないチャンス到来というところか。

 しかし気になるのは、スターダムからの離脱が本当にこれで終わりなのかということだろう。

 そもそも現代日本の企業プロレスの一つの頂点であるブシロードグループから、わざわざ抜けて新団体を設立するということ自体がかなり意外な展開である。

 普通であれば、給与や休場保証の水準が高いはずの企業プロレス団体へ入りたいものであるし、実際にそういう展開になっていた。

 にもかかわらず今回のようなことが起きてしまうのだから、プロレス界も人の世も、そう単純じゃないのだ。

 それにしてもロッシー小川の新団体は、少なくともプロレス界の中にはアピールする旗印を手に入れたものと言えるかもしれない。

 その旗印は「プロレスはカネじゃない、安定じゃない、理想だ」というもの
だろうか。

 そんなことを真顔で言える、行動が証拠になる、というのは確かに強みである。

 私としては、ロッシー小川の新団体というものにけっこう期待できると思っているのだが……

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吉江豊、50歳で急死-「巨漢レスラー」の短命は宿命なのか

 鳥山明、TARAKO(ちびまる子ちゃん声優)に続き、プロレスファンにはショッキングな訃報が出てしまった。

 あの「巨漢ピンクレスラー」吉江豊が、全日本の高崎大会(3月10日)の試合直後に容体急変して死去したのだ。享年50歳。

 あまりにも若すぎるし、またこれは「試合中の事故で亡くなる」という「リング禍」のうちに入るのではないかとも感じる。

(⇒ BBMスポーツ 2024年3月10日記事:【訃報】元新日本プロレス・吉江豊さんが急死。全日本プロレス・高崎大会後に【週刊プロレス】)


 
 吉江豊にとって3月10日の試合は、4か月ぶりの実戦リングだったという。

 しかし試合自体は別段普段と変わった様子もなく、いつものように巨体で動き回っていたという。

 バックステージではコメントも(私は見ていないが、たぶん普通に)出したものの、控室に戻った後に容体が急変したらしい。

 私は吉江豊に持病というものがあったかどうか知らないが、しかし誰でも思うことをやはり思う。

 それはもちろん、「巨漢レスラー」というのは体にどうしても負担がかかり、よって短命なのが宿命ではないかということだ。


 そしてまた他の人たちと同じように、「浜亮太」というレスラーの名もやっぱり浮かんでしまうのである。

(しかし、そう連想が行くのなら、大相撲の力士たち全員へも連想が及ばなければならないのだが……)


 大相撲を除く他のスポーツ界ではいざ知らず、プロレス界では「巨漢であること」はやはりウリの一つである。

 確かに昔ほど巨漢であることの評価が高いわけではないが、それが人の目をどうしても惹きつける、よってレスラーのアイデンティティになるというのは今も変わらない。

 ただ、これにはネックもある――

 正直なところ、巨漢タイプのレスラーが本当に歴史に残る名レスラーと評価されることはなく、そう評価されるのは決まって(こういう言い方が合っているかはわからないが)、標準体型タイプ又は「太っている」ではなく「ゴツい」タイプのレスラーなのだ。


 むろんジャイアント馬場やアンドレ・ザ・ジャイアントほどになると話は別だが、それも巨漢であるのは横幅でなく縦の長さ(身長)である。


 正直なところ、もしプロレス界が一丸となってレスラーの健康管理に万全を期そうとするなら――

 まず「太った巨漢タイプのレスラー」を廃絶することから手を付けるべきなのかもしれない。
 
 あれこそは、誰が見ても「体の負担はすごいだろう」「いつか限界が来るだろう、体調を崩すだろう」「長生きは難しいだろう」と直感するに決まっている姿だからである。

 しかし、では、それができるかということになると話は別だ。

 わが団体では、太った巨漢タイプのレスラーは採らない・育成しない・リングに上げない……

 という方針をもし掲げれば、それは不人情であり非人道的・差別的だとプロレスファン(の少なくとも一部)に評価されてしまうだろう。

 ただ、実のところ――

 そんな方針を密かに決めている団体もプロレス界にはいくつかある、と私は思わないでもない。

 もしそうだとすれば、今回の吉江豊の急死でそんな団体はますます増えてくるのではなかろうか。



 改めて考えてみると、日本のプロレス界の初期や前期は、グレート・アントニオにヘイスタック・カルホーンなど「太った巨漢レスラー」の黄金期だった。

 いや、かつては世界のプロレス界でそのようなレスラーが活躍していた時代があった。

 しかし今となって見ると、その数は極めて減少しているように思える。

 おそらく太った巨漢レスラーというのは、近いうち絶滅に瀕するタイプのレスラーなのだろう。

 その中で吉江豊は、同タイプのレスラーの中で最後に近い光芒を放った存在だったように感じる。
 
 何にせよ、非常に残念である。

 謹んで、ご冥福をお祈りする。

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ブル中野、日本人女子初WWE殿堂入り…は当然だろう

 3月7日、WWEはブル中野(56歳)を2024年度WWEホール・オブ・フェーム(WEE殿堂)の一人に選出したことを発表した。

 日本人プロレスラーとしてはアントニオ猪木、藤波辰爾、獣神サンダー・ライガー、グレート・ムタ(武藤敬司)に続く5人目、日本人女子レスラーとしては史上初となる。

(⇒ 日刊スポーツ 2024年3月7日記事:ブル中野、WWE殿堂入り「泣いてしまいました」「やっと報われたな」4・6式典出席)

(⇒ ABEMA格闘TIMES 2024年3月7日記事:「すべての苦労が報われた。これでようやく終われるなって…」日本が世界のプロレス界に誇る“女帝”が流した涙 ブル中野、日本人女子初の“WWE殿堂入り”快挙)


 今回のブル中野の選出に異を唱える人は、いないだろう。
 
 それどころか「遅きに失した」と思っている人が大多数だろう。

 もし日本人女子レスラーの中で誰か一人WWE殿堂入りを選ばなければならないとすれば。もちろんブル中野を措いて他にはない。

 あるとすれば、あの大昔のJBエンジェルス(立野記代&山崎五紀)くらいである。

 今回の選出に際し、WWEのトリプルHは「彼女は史上最高のプロレスラーの一人」と讃えたらしい。

 これは私もそう思う。

 特に女子プロレスにおいては、世界的に見てもブル中野は史上最高クラスの一人だったと思う。

 まずあのメイクと垂直に逆立った長い髪は、まさに一度見たら(令和の子どもたちでも)忘れられない容姿である。

 そしてあの女帝そのものの風格は、(あんまりこういう言い方はしたくないが)イマドキの女子プロレスラーには逆立ちしても出せないものがあると思う。


 そのブル中野も(有名な話ではあるが)全日本女子プロレスでは名物的なイジメに遭い、悪役に転身「させられた」ときには当時の彼氏とも別れるなど、ハードなレスラー人生であった。

 全日本女子プロレスにせよ他の団体にせよ、昔のプロレス団体は今でいうブラック企業――超絶ブラック企業――みたいなところが多かったようだ。

 しかしもしかしたら、ブル中野のようなレスラーはそういうブラックな環境の中でこそ生まれたのかもしれない、とは誰しも少しは思うだろう。

 もしブル中野が現代の女子プロレス団体に入っていたらどうなっていたか、というのは、答えなど決して出ないがなかなかの難題だろう。

 さて、今回のブル中野WEE殿堂入りで一つだけ懸念があるのは、今後日本人女子レスラーが後に続くことはあるのか、という点である。

 ブル中野がアメリカで活躍したのは、日本でトップをとった後の1990年代の話である。

 それ以後、現在に至るまで、ブル中野ほどの活躍をアメリカで示した日本人女子レスラーはいないし、今後も出てくるとはちょっと想像しにくい。

 なんか、もう、何十年にもわたって日本人女子レスラーはWEE殿堂入りしない――

 もしかするとブル中野が史上唯一になるのかもしれない、とも感じるのだ。

 それを除けば、今回のニュースにはおめでとうございますの一言に尽きる。

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Appendix

プロフィール

平 成敏

Author:平 成敏
1970年代生まれの男性。
認定ファシリティマネジャー、主に施設管理の仕事に従事。
プロレス、社会、歴史など、興味関心のある分野についてあまり脈絡にこだわらず書いていきます。(⇒プロレス以外の話題については、別ブログ【社会・ニュース・歴史編】をご覧ください。)

著作一覧(アマゾンkindle版)

ペペチール第三王朝の興亡:表紙 世界系統樹:表紙 尊敬なき社会(上):表紙 尊敬なき社会(下):表紙 表紙:『もうすぐ無人島になる瀬戸内の島へ』 ブログ販売欄掲載用

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