2月1日、新日本プロレス及び飯伏幸太本人は、1月31日付で飯伏が新日本を退団したことを発表した。
理由は「契約期間満了」である。
(⇒ スポーツ報知 2023年2月1日記事:飯伏幸太が新日本プロレスを退団「契約期間満了により」大けがで21年から長期欠場) もちろん飯伏幸太と言えば、欠場中の昨年は「飯伏幸太の乱」とも言うべき新日本との確執を起こしていた。
今回の退団も、契約期間(1年間)満了をあえて待ち、確執や問題のない退団を演出したのだろう――
との憶測は拭えないだろう。
(⇒ 2022年5月29日記事:飯伏幸太はどこへ行く-フツーの会社・新日本プロレスの対応) それにしても飯伏幸太、日本プロレス界でも一二を争うほどの逸材とされながら、その去就は本当に変動が多い。
新日本とDDTの史上初の2団体所属となったかと思えば、その2団体とも退団する。
そしてまた新日本に再入団したかと思えば、今度はまた退団する。
いつの間にか飯伏は、日本プロレス界きっての“放浪者”となってしまった観がある。(⇒ 2016年2月23日記事:飯伏幸太、新日本&DDTの2団体退団) しかしさすがと言うべきか、飯伏の復帰戦や今後の予定は一応決まっているようだ。
3月30日・31日にはアメリカ・GCWへ参戦し、
あのジョシュ・バーネットの主催する「ブラッドスポーツ(3月30日)において、
あのDDTで活躍したマイク・ベイリーと対戦するとのこと。
新日本の退団により飯伏はフリーとなったわけだが、私にはどうも、これでやっと飯伏が安住の地というか死に場所を得たような気がする。
多くのプロレスファンが思っていたことだろうが、やはり
骨の髄まで「自由人」の飯伏には、団体所属は似合わないのではなかろうか。
彼が本当に属することができたのは、DDTしかなかったのではないか。 飯伏幸太には、フリーがよく似合う。
盟友ケニー・オメガがいるからと言って、AEWに入団するというのはやめておいた方がいいだろう。
飯伏幸太の本領は、どこにも属さないフリーであるとき発揮される。
というかフリーでないと、また退団劇を繰り返すことになるのではないだろうか……
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1月27日、石川県知事にしてプロレスラーの馳浩は、定例記者会見において――
1月1日の新日本vsNOAH対抗戦興行に電撃出場した際の報酬について、「10万円」であり雑所得として処理した、と明かした。
(⇒ 北國新聞 2023年1月28日記事:馳知事、元日のプロレスギャラは10万円)(⇒ 2023年1月1日記事:NOAH元日興行3大サプライズ-新日本追撃の大号砲?(上)) プロレスラーの出場ギャラが何円か、というのは、プロレスファンにとって興味津々たる話題である。
そしてまた、何年経っても不透明なブラックボックスでもある。
プロレスファンなら必ずや、自分なりの「夢対決」「オールスター興行」を考えたことがあるはずだ。
そんな妄想をさらに進めると――妄想が進むと、却って現実に近づくという好例だが――、
そんな興行を行うには、各レスラーにどれだけのギャラを払うことになるのか、という問題に突き当たらざるを得ない。 しかしここに、一つの実例が出てきたわけだ。
答えは、「馳浩で10万円」である。
なんだか、唖然とするような低い額ではないか。
もちろんこれは、特例と言うべきなのだろう。
馳本人によると、
故・ジャイアント馬場に「お前は(1試合)10万円だ」と定められた過去があるそうで、
「今回、少ないんじゃないかと思わないでもなかったが、そういう不文律がある」
とのことである。
いやはや、ジャイアント馬場がドケチであること、
あまりにも金銭や契約にシビアで、「キラー猪木」とは違った意味で「キラー馬場」と呼ばれることもあるのは、
ちょっとしたプロレスファンにはとっくに周知のことである。
しかしよもや、その残光が今も「不文律」として(NOAHに?)受け継がれていようとは……
ジャイアント馬場の巨大な足跡が、現在にまで届くほど巨大だったことを、思わぬことで再認識するというものだ。
そして、
生前の馬場が「馳浩は1試合(シングルではまた違ったのかもしれないが)10万円」と決めた脳内メカニズムを、いまさらながら知りたいとも思うのである。
1月23日、新日本プロレスは「22団体」からジュニアヘビー級選手が参加する「オールスター・ジュニアフェスティバル2023」を後楽園ホールで開催することを発表した。
これは、去年から高橋ヒロムがしきりに訴えていたことの実現である。
(⇒ スポーツ報知 2023年1月24日記事:3月1日に国内22団体が集結しての「ジュニア・オールスター戦」開催…新日本プロレスが発表) そして、その参加する22団体の顔ぶれというのが、想像以上にスゴい。
●新日本プロレス
●全日本プロレス
●プロレスリングNOAH
●暗黒プロレス組織666
●大阪プロレス
●ガンバレ☆プロレス
●九州プロレス
●大日本プロレス
●パンクラスMISSION
●プロレスリングSECRETBASE
●ZERO-1
●プロレスリングBASARA
●フリーダムズ
●みちのくプロレス
●琉球ドラゴンプロレス
●CMLL
●DDT
●ドラディション
●ドラゴンゲート
●GLEAT
●JUST TAP OUT
●2AW
いやあ、おみそれしました。
まさかこんなに集まるとは、
特に暗黒プロレス組織666やSECRETBASE、パンクラスMISSIONまでも集まるとは……
これはもう、いったい各団体から誰が代表で出てくるのか、想像するだけでもプロレスファンのテンションは上がる。
昔のプロレスファンなら、この話だけで居酒屋を10軒でもハシゴできるくらいだろう。
そしてまた、これだけで「やっぱり新日本はスゴいんだ」とファンに認識させるには十分である。
これほど「業界の盟主」感を出せる方法というのは、なかなかないものだ。
出場選手の続報が待ち遠しいばかりで、今は他に何とも言えないが……
2月の武藤敬司引退後も、プロレス界には間髪入れずビッグな話題が続きそうで何よりである。
1月22日、NOAH横浜アリーナ大会でグレート・ムタが「引退」して魔界へ帰った。
ムタのラストマッチ名は『End of Nightmare』。
ムタ&スティング&ダービー・アリン VS 丸藤正道&AKIRA&白使(新崎人生)の6人タッグマッチであった。
(THE DIGEST 2023年1月22日記事:世界を席巻したグレート・ムタが最後の毒霧噴射でリングに別れ。白使の血を使った“27年前の再現”は「完」) 私の好きな外国レスラーの一人、かつムタとは色々あったスティング登場。
これだけでも個人的には感涙ものだ。
余談だが、
顔面を白一色に塗った「白面レスラー」と言えば、現在ではスティングとラム会長が双璧だと思う。
(怨霊やアイガーもいるのはわかっているが……)
それはともかく、つい最近シングルマッチで中邑真輔と「奇跡の一戦」をやったムタである。
引退試合としてこの6人タッグマッチの陣容は、ベストと言っていいのではないか。
特にAEWの若き新星ダービー・アリンにとっては、望外のメンバー入りだったと思われる。
しかしやはりメインとなったのは、ムタと白使の絡みであった。
2人は新日本・1996年4月29日の東京ドーム大会で、「WCW日本人代表のムタ」と「WWF(現WWE)日本人代表の白使」としてシングル対戦している。
そのときムタは、流血した白使の血で卒塔婆に「死」と書いて勝利した。
そして今回、その再現というかオマージュというか、ムタが卒塔婆を折って白使の額に押し当てて流血させ、最後はシャイニング・ウィザードを見舞って勝利。
その血で卒塔婆に「完」と書くという結末を見せた。
いやあ、いろいろ意見はあろうが、私にとっては泣かせる演出である。
そして、さらに泣かせるのがバックステージ……
ムタは車椅子に乗って「バイバイ・エブリバディ」とコメントし、ダービー・アリンに「ヤングボーイ」と合図して車椅子を押させ、退場したというのだ。
武藤の膝が悪いのはお笑い芸人のネタにもされ、(全国民とは言わないが)世間に広く知られている。
日常生活は車椅子で送っている、とまで言われていた。
今回、バックステージで車椅子に乗ったのは――
もう最後でもあるし、その噂を逆用アピールしたかのようにも思われる。 これもまた、心憎い(と言っては不正確かもしれないが……)演出の一つである。
プロレス史上、希代の怪奇派――異論はあろうが、やはり怪奇派の系譜にあると思われる――レスラー、グレート・ムタ。
そのラスト2試合は、想像以上の「成果」を収めた「作品」となったと言ってよいのではなかろうか。
正直私は、数年前までの武藤敬司の試合には「衰え」しか見ることができなかったのだが……
さすが天才、プロレスリング・マスターの名は伊達ではなかった、とシャッポを脱ぐべきところだろうか。
1月21日、新日本とNOAHの合同興行が横浜アリーナで行われた。
もちろん焦点は、新日本のロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン(LIJ)とNOAHの混合というユニット同士の全面対抗戦――シングル5番勝負であった。
その結果は、次のとおり。
(1) BUSHI(LIJ)× vs タダスケ(金剛)〇
(2) 高橋ヒロム(LIJ)〇 vs 大原はじめ(金剛)×
(3) SANADA(LIJ)× vs 征矢学(金剛)〇
(4) 鷹木信悟(LIJ)〇 vs 中嶋勝彦(金剛)×
(5) 内藤哲也(LIJ)〇 vs 拳王(金剛)×
3勝2敗かつ大将戦を制したことで、LIJの勝ちとなった。
この中で「意外」な結果となったのは、(3)(4)ではなかろうか。
特にSANADAが征矢に負けたというのは、特にSANADAファンにとってはショック級のことだろう。
中嶋が鷹木に負けたというのもそうかもしれないが、しかし鷹木は次期IWGP世界ヘビー級挑戦者なので、ここで負けるわけにはいかなかった。
そして大将戦、内藤が拳王に勝つというのは、多くの人がそうでもあろうと予想していたことだったろう。
この結果により、
ようやくのことで征矢学が金剛内で発言力を――ワイルド時代から一転、古武士以上に寡黙になってしまったが――増し、存在感を示すことができるようになるのではなかろうか。
逆に言えばLIJにとっては、今後にさして影響のない対抗戦だったような気もする。
もっとも大会終了後、ついに武藤敬司の引退試合の対戦相手が内藤哲也に決定した。
まるで今回の対抗戦は、このお膳立てのようなものだった気さえする(笑)
この内藤哲也という選択は、天龍源一郎が引退試合相手にオカダ・カズチカを選んだのと同じく――
「今のプロレス界で最も活躍している/最高位にいると思われている選手」というチョイスであり、
しかしまたオカダ・カズチカを選んだら二番煎じになってしまう、
という流れだったとも想像される。
そしてやはり、武藤敬司のファイナルバトルともなれば、
「ムーンサルトを出すか」
「あの(つい最近の)グレート・ムタvs中邑真輔の試合を超えられるか」 が焦点になりそうである。
これは、プロレスリング・マスターにとって最後の難題ともなるだろうか……